5円玉という財布の中にいる中途半端な存在について

最近世界はキャッシュレス化の方向へと進んでいるが、しかし相変わらず日本は現金主義国である。

ご多分に漏れず私もいまだに買い物の際は大抵が現金支払いである。

別に確たる信念があるわけでは無く、カード支払いによる決済の時間差がなんとなくいやというのが主な理由なのだが、しかしカードでワンタッチで清算できると会計が大変スムーズに終わって楽ではある。

そういった会計時の利便性の面から考えた時、現金で支払いをする場合、地味に面倒なのが小銭の存在である。

会計金額と小銭入れの中身を瞬時に見比べ選別し、素早く会計トレーの上に並べていかなければレジに並ぶ列が瞬く間に渋滞を起こしてしまう。自分の日頃の鍛錬の成果が試される場である。

面倒くさがって何も考えずに大きいお金ばかりを使っていると、あれよあれよと財布の中に小銭が増えていく。
特にそれ以上は崩しようがない1円玉は増殖率が非常に高い。

1円玉ほどではないのだが、5円玉は小銭入れに押し込まれている側面の外見が10円玉のそれと酷似していて、使用機会があったところで存在にそもそも気が付かないこともままある。
気が付くと財布の中に5円玉が3枚も4枚もあるなんてこともあり、こんなに一堂に会するとは近いうちに何かご縁にでも恵まれるのか?と思うのだが結局そんな機会は訪れることなく、君は一体何のために存在してるんだと問いかけたくなる。

 

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5円玉の困るところ

1円玉が5枚あるよりはスッキリしていいのだが、しかし5円玉って特に存在しなくても困らないような気もする。

先程も書いたように財布の中でその存在があまり目立たないのだ。

そして運良く見つけられたところで、取り出そうとしても硬貨の直径が小さいせいなのか、なかなか指先に引っかかってこずに摘まみにくい。

あまりもたついていてはレジが混雑してしまうので、仕方なく代わりに他の大きな硬貨で支払いを済ませ、結果余計に小銭の枚数が増えてしまうなんてこともよくある。

そしてそんな形状に加えて硬貨の表面に刻印されている「五円」の文字である。
なぜ君だけ漢数字なのか。
これって漢字を使用する文化圏の人になら分かるけど、それ以外の人には読めないんじゃないのか?困んない?

たまに券売機の近くなんかで海外からの旅行者と思しき人に
「なぜかこの硬貨だけ券売機が受け付けてくれずに戻って来る。どうして?」
といった内容の質問をされるのだが、彼らの手に握られているのは5円玉。
券売機に描かれている50円玉硬貨のイラストと手に持った5円玉を交互に指さす。

ああ…確かにこれは分からないなと。

形状だけ見ると50円玉と一緒。何なら錆びた50円玉。

つたない英語で、「this is 5 yen、this is 50 yen」と説明するのだが、いま一つ腑に落ちない顔で去っていく。

もしかすると私の語学力の問題かもしれないが。

なぜ5円玉だけ漢数字なのか

こういった体験は私だけの話ではなく、以前にツイッターでも話題になったらしい。
日本に慣れていない外国人がレジの際に5円玉と50円玉の違いが分からずに困惑するという話だ。

話題になったことをきっかけに、造幣局への問い合わせ内容を載せたサイトがあったので参考にする。

「五円玉」に漢数字しかないのはなぜ? 外国人に分かりづらいのではと話題に
造幣局と財務省に聞く

回答内容をかなりかい摘まんで言うと、「特に理由は無い」らしい。

「五円」の文字はあくまでもデザインの一部であって、これと言って深い理由があるわけではないとのこと。
もう少し補足するならば、それぞれの硬貨の発行年代がバラバラであるために統一性が無いのだとか。

今後5円玉のデザインは変化を遂げるのか

それでは統一しないのですか…?もうすぐ東京オリンピックですよ?国際化の時代ですよ…?
って感じの疑問が湧いてくるのだが、造幣局側の回答としては「デザインを変えると社会の混乱を招くため、偽造の危険など余程の理由が無い限りは変更することはない」らしい。
今後も地味に不便を感じる生活を続けていくしかないようだ。

 

しかし普段は何気なく使用している5円玉。
上述の経緯や要因が漢数字のデザインの理由になるわけだが、わざわざ調べなければそれを知ることは無かったわけだ。

けれど何だか理由を知った後も今ひとつすっきりしない。

単にデザインの統一性の無さにもやもやするだけなのかもしれないが…

やはりできればデザインは統一してほしいし、日常生活に密接に関わるものである上に今後も外国人旅行者などから引き続き質問される可能性があるわけなので、「五円」の理由はもっと広く世の中の人々に知っておいてもらいたい。

…でなければ、例えばもしも遥か後世に現代人の財布が発掘されて未来人が小銭入れの中身を見た時に、なぜか5円玉だけ漢数字だったらすごく謎なんじゃないか?

なぜこの硬貨だけ種類の違う文字が刻印されているのか?何か特別な価値があるのか?何か深い意味があるのか?古代人の生活用品や文献などからは何もそれについて記されていない、なぜだ…。

ってことにならない???

造幣局に保管されている資料を発見した時にその謎は解けるのだろうか。気になる気になる。

 

最近は仮想通貨だ何だとお金の多様化が進んでいるけれど、身の回りのお金事情はこれからどういった変化を遂げていくのだろうか。

今後何か時代の変化があった時に、硬貨は、5円玉は、どのように姿を変えていくのか。

自分が生きている間に新しい5円玉の姿を見ることはあるのだろうか。