普段は質素に薄味粗食で健康的に生活している私だが、たまに無性にカップラーメンが食べたくなる時がある。
いや、カップラーメンに限らずカップ焼きそばやハンバーガーなどについてもだ。
日頃は健康を意識して野菜中心の食事で禁欲的に生きている私に、突然悪魔が囁きかけるのだ。
頭の中にではなく、胃袋に対して。
悪魔からの誘惑によって人間の三大欲求が刺激され、理性の力では抗いきれずにそのままふらふらと誘われるままにジャンクフードを食べてしまう。
抵抗も虚しく本能に打ち負けてジャンクな食べ物を食べてしまっているのにも関わらず、その時の私は背徳感に苛まれながらも同時に何とも言えない変態的エクスタシーを感じるのだ…
この感覚、誰か分かってくれる人いないかなあ…
突然のカップラーメンの誘惑
それはいつも突然、何の前触れもなく急にピーンと降りてくる。
「あ。カップラーメン食べたい。」
栄養豊富な玄米おにぎりを食べていても、さっぱりとした小松菜のおひたしを食べていても、そう思い立ったが最後、それ以外の食べ物について考えられなくなる。
冷蔵庫の中に残っている使いかけの野菜のことなど思考の隅に追いやられ、その日の業務終了後、わき目も振らずに颯爽とスーパーマーケットへと足を運ぶ。
そうしてインスタント食品の陳列棚にたどり着く頃には、もうとっくに理性が失われているので、もはや脳内の選択肢にはビッグサイズのカップ麺しか残されていない。
迷うことなくそれを手に取り、ついでにその勢いで食後のポテトチップスやコーラなんかも次々と買い物かごの中へと放り込んでいく。
とんでもないジャンク飯だ…
そうして帰宅した後も、家の中の雑用をこなしつつも着々とジャンク飯を食べる準備を同時に進めていく。
湯を沸かす。
テーブルにクロスを敷く。
その上に箸を置く。
床にクッションを敷く。
見たかったDVDをセットする。
湯を注ぐ!
3分待つ!!!
…
出来上がったらそのジャンク飯を、めっちゃ怠惰にくつろぎながらダラダラと食す。
それがもう、この上ない快感…
普段体に気を使って添加物の少ない食事を摂るように心掛けているのに、それが一気に水の泡となる悪魔の所業。
野菜と白ご飯で浄化されていた体がじわじわと蝕まれていく危険な感じ…
しかしそんなふうに体に悪いことをしている背徳感が何とも言えない…!
「内臓が添加物に攻撃されてるぅー!」
と頭では理解しながらも、一方で体は喜んで汚染物質に染まっていくのだ…。
ジャンクフードの魔力
突然の神託以外にも、誰かの食べているジャンクフードの匂いに誘惑されることもしばしばある。
「今日のお昼ごはんは、さっぱりとした和食!」
と、朝からそのような気分でいる日でさえ、カップラーメンの匂いを嗅ぐやいなや気分が急転換する。
…しかしそのような誘惑に囚われてしまうのは決して私だけではないはずだ。
現に私は自分と同じような人間を、休憩室に置いてあるカップ麺の自販機の前で何人も見てきた。
休憩室で他の同僚が食べているカップラーメンの匂いに吸い寄せられ、まんまとカップラーメン臭に脳みそを汚染され、気が付くと自販機のボタンを押している人…
「ウェ~イ、コーヒー、コーヒー~!」
とコーヒーを購入しに来たにも関わらず、休憩室に充満しているカップラーメン臭に一瞬のうちに脳細胞を刺激され、コーヒーと一緒にカップラーメンも購入していく人…
人々をこのような行動に駆り立てるものとは、一体何なのだろうか?
どういった生理反応なのか?
カップラーメンというのは調味料の中にイケナイ薬の粉でも入っているのか??
なぜあんなにも人体に与える影響力が凄まじいのか、誰か説明してほしい。
カップラーメンを食べたその後
誘惑に負けてカップラーメンなどのジャンクフードを食べてしまった時には、もうこのまま依存体質になって元の生活には戻れなくなるのではないかと危惧するのだが、幸いにそのような状態には今のところ陥ってはいない。
突然、狂乱的にカップラーメンを貪り食った後には、もう当分はそのようなジャンクフードなどは食べたくないという気分になるのだ。
そして大抵は普段食べ慣れていないものを摂取してしまったせいで、後あと腹具合が悪くなる。
一体あの一連の出来事は何だったのか… と拍子抜けな感じだ。
しかしある程度時間が経って体内からジャンクフードの毒素が抜けていくと、またしても同じ過ちを繰り返してしまうのだ。
一瞬の狂乱だと分かっていても、その後に胸やけがやって来ると分かっていても、それでも毎回止められないのだ…
一度でもカップラーメンを食べてしまうと、もうそれ無しでは生きていけないような体に変化してしまうのだろうか。
このような崩食の時代に生きている以上誰しもが避けては通れない、どうしようもない現代人の性なのかもしれない…
ってことで本日の夕ご飯はカップラーメンです。
それではいただいてきます。