派遣の時給アップ交渉は決裂する可能性が高い!ダメ元で期待は禁物

職場での仕事内容や業務負担量などを理由に、派遣先での時給を上げてほしいと思ったことが一度はあるだろう。

でも実際に価格交渉を行って時給を上げてもらえるのかというと、交渉が成立する可能性はあまり高くない。

これは自身の経験や周囲から聞いた話をもとに導き出した経験則だ。

私は派遣としては、主に事務職と製造職で働いてきた。
これまでに3度ほど時給交渉を行ったが全て決裂したし、周囲の話を聞いても、成功例はほとんど見ない。

別に大規模に調査を行ったわけではないので、信用に足るデータではないけれど、でも昨今の不景気な世の中を考えると、多分どこも似たようなもんじゃないかと思う。

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なぜ派遣社員の時給交渉は難しいのか

なぜ派遣社員の時給アップは難しいのか?

それは派遣社員の時給の決定には、派遣元と派遣先企業との間で調整が必要だからである。
いくら派遣元に時給アップを求めても、派遣先企業がそもそもの原価を引き上げてくれないことには、派遣社員の時給を上げることはできない。

(まあ、皆さんそんなことは知ってますよね。。。)

ごくまれに、派遣元が自分たちのマージンを削って派遣社員の時給を上げてくれることもあるが、そのようなことは基本的に無いと考えたほうがいい。
そこまでして特定の派遣社員をその職場へ引き留めようとすることなど、よほどの事情がない限りは起こり得ない。

そもそも、派遣会社の営業マンは、時給交渉を積極的に行ってくれない。
派遣元と派遣先の力関係を考えると、どうしても立場の弱い派遣元から交渉を持ち掛けることは難しいのだろう。

でも一番の理由は、派遣スタッフ1人の時給を上げられたところで、自分の成績にはあまり影響しないからじゃないのかな、、と思ったり。

誰だってノーリターンで高リスクを冒したくはないよね。
所詮、営業マンだってただの人間ですから。
自分の立場の安定を一番に優先するよね、っていう。。

と、そういった事情を踏まえると、よほど派遣先で重要なポジションにでもいない限り、なかなか時給交渉をしてもらうのは難しいようだ。

そして、いくら勤務態度が真面目で仕事が評価されていたとしても、派遣先自らが時給アップをしてくれることなどは、基本的にない。

いっそ、ダメ元で交渉を持ち掛けてみるのも、一つの手段だと思うよ。

身近で実際にあった時給交渉例

私自身も含めて、派遣社員仲間の間で時給の交渉を行った者は何人かいた。

ただ、交渉を行ったものの、成功した例はわずかだったが…

それぞれ状況が全く違うので、まとめるのが難しいから1人1例で書いていくよ。

1. 自分の派遣会社の時給が低かったAさん

Aさんは、複数の派遣会社のスタッフが働く大手企業に派遣されていた。
しかし休憩時間のおしゃべりの中で、自分の時給が他社の派遣社員よりも低いことを知った。
そこでAさんは派遣元へ、自分の時給も他社と同じ価格に引き上げてほしいとお願いをしてみた。
しかしそれに対する派遣元の返答は、「それは無理」という実にあっさりしたものだったらしい。


この場合、Aさんの時給が低い理由は、派遣元企業の営業力が弱いために、派遣先企業から派遣契約料を買い叩かれていた可能性がある。
もしもそうだとすれば、いくら派遣元企業に時給アップを交渉したところで成功させるのは無理だろう。

また別の可能性としては、派遣契約料は他社と同一だが、派遣元が自分たちのマージンを多く取り過ぎている場合だ。
もしもそうなのであれば、そんな派遣会社はさっさと辞めてしまうのがいいだろう…

2. 業務の負担量が増えたBさん

Bさんは仕事熱心な人で、派遣された当初に任されていた仕事以外にも、余裕があれば他の業務もどんどんと積極的に引き受けていた。
しかしやがて仕事の負担量が他の派遣社員と比較し多くなり過ぎたために、派遣元へ時給アップ交渉を試みた。
しかし、派遣元営業マンが派遣先へ時給アップを打診してみたところ、断られたという。


両企業の間でどのような話し合いがされたのかは分からないが、この場合、Bさんの時給が上げてもらえなかったのは、Bさん自らが仕事を増やしてしまった、というのが一因ではないのだろうか、、
増えた仕事の内容が明確な契約違反に当たらなければ、時給アップは難しいのかもしれない。
また残念ながら、「いい派遣社員」=「安い時給でたくさん働いてくれる」という認識を持つ企業も少なくない。
「頑張って働いていれば待遇がよくなるだろう。」と期待しても都合よく使われるだけ、というお手本のような例。

3. 勤続年数が長いCさん

職場での人間関係が良好で勤務態度も真面目なCさん。
派遣先での勤続年数が2年を越え、仕事の責任も徐々に増えてきたので、時給を上げてもらえないかと派遣元営業マンに相談をしてみた。
営業マンが派遣先企業へと時給アップについて相談をしてみたところ、派遣先企業がCさんの仕事ぶりを評価して時給を上げてくれた。
ちなみに、上がった時給は20円だったとのこと。。。


派遣先企業がCさんの勤務態度や業務におけるポジションなどを誠実に評価してくれた結果、時給アップにつながったようだ。
しかし上がった時給が20円というのは、なかなかささやかな金額である。
しかし時給交渉に成功した人たちの大半は、だいたい20~50円程度の賃上げに留まることがほとんどらしい。
時給交渉が成功しても、あまり大幅な賃上げは期待できないということなのか、、

4. 同僚派遣社員の能力が低かったDさん

Dさんは大手機械メーカーの工場で派遣社員として働いていた。
Dさんの他にも、同じ派遣会社のスタッフが何人も働いており、その現場の業務をチームで分担していた。
しかし派遣社員の中に作業の遅いスタッフが1人いて、いつも他の派遣社員が業務をカバーしていたらしい。
それが日常的なことだったので、作業量の不公平さを理由に自分達の時給を上げてくれるようにと、派遣元営業マンに頼んでみた。
それに対する営業マンの対応は、「みんなの時給を上げることはできないが、代わり作業の遅い人の時給を下げる」というものだったらしい。


Dさん達はこの妥協案に一応は納得してその件は収まったらしい。
でも私は、その営業マンは結局のところ何もしていないんじゃないかと邪推する、、
みんなの時給を上げられない代わりに、作業の遅い人の時給を下げたということだが、実際に下げたかどうかなんて本人にしか分からないことだ。
それに、特定の人の時給だけ下げるなんていう面倒くさい手続きをわざわざ行うだろうか?上からツッコミ入りそうだし、、
Dさん達は営業マンのその場しのぎの嘘に、上手いこと誤魔化されたのではないだろうか。。。

5. 派遣元で信頼の厚かったEさん

Eさんは同じ派遣会社で長く働いており、仕事ぶりもよく営業マンからの信頼も厚かった。
ある時、新しく契約を取った派遣先へと派遣スタッフを送り込むことになったが、営業マンはそれを信頼のできるEさんにお願いをした。
しかしEさんは派遣先の時給が低いことを理由に、直近の勤務先と同じ金額まで時給を引き上げてくれたら仕事を受けるという条件を提案した。
派遣元はそれを承諾し、時給アップに応じた。


Eさんの件の場合、おそらく派遣元は自分達のマージンを削ってEさんの時給を上げたんじゃないだろうか。
まだ一人も自社スタッフを就業させていない状態で、派遣先に時給交渉ができるとは思えない。
自社スタッフの第一印象を良くするために、どうしても信頼のおけるEさんに就業させたかったので時給交渉に応じたのだろう。

6. 業務量が増えた私の場合

私は今までに3回の時給交渉を行った経験があるが、いずれも失敗に終わっている。
面倒くさいので3回分の経験をまとめて書いていくね。

3回ともメーカーの製造スタッフとして勤務していた時のこと。

時給交渉の理由となったのは、業務量の負担増加。

原因は「他のスタッフが抜けた後をカバーしていた」「作業の遅いスタッフをカバーしていた」「日勤のスタッフの遅れをカバーしていた(その時夜勤だった)」というもの。
どれも他のスタッフのカバーをしている。

いずれも抱えた仕事がパンクしそうになった末に、時給交渉に踏み切っている。
1回目はやんわりと遠回しに、2回目はもう少し強めに、3回目ははっきりと、「割りに合いません。」といった趣旨の主張をした。

返ってきたのは、「人を探しているから!」「現場を改善するから!」「何とかするから!」といった内容のもの。

私が「いえ、負担量が違うのに他の人と一緒の時給というのは、、」と返しても、「何とかするから!」と、阿呆のように同じ言葉を繰り返す。

その時の私の内心はこうだ。「何とかしてから説得しろ。」

「…じゃあ、仕方ないので辞めますね。」と言ったら、「え、、ウソ、、」と驚いていた。何でだよ。


この場合、時給交渉が失敗したのは、私の人の好さに付け込まれたからだと思う。

今ではすっかりヤサグレちゃってるけど、当時の私は自分の身を犠牲にして働く“いい子ちゃん”だったのだ。
でも“いい子”って、都合いいように使われることが多いんだよね。
私が「辞める」って言った時もすごく驚かれたし、絶対に私が辞めないって確信があったんだろうな、と。

あと、「派遣の時給は上げない」っていう、社内の決まりがあったのかもしれない。
あまりにもバカみたいに「時給は上げられない」の一点張りだったので。
もう少し柔軟に対応できないものか。

時給も上げてもらえない、こんな世の中じゃ

派遣で働いていると、「やっぱり派遣は時給を上げてもらえないな」と思うことは多い。

同じ勤務年数・仕事内容でも、パートは時給アップしてもらえるのに、派遣はずーーっと同じ時給ってのは、よくある話だ。

たまに「派遣元にいくら払ってると思ってんの!?派遣ってお金が掛るんだよ!?」って、謎のキレ方をしてくる派遣先のおっさんがいるけど、

いや、知らんがな。

自分の都合で派遣を雇ってるんじゃん。嫌なら最初から募集すんなよ。
別にこっちは直接雇用でもいいんですけど??

でも、派遣がーというよりも、おそらく最近の世の中全体に「人件費=無駄」って風潮が蔓延っているのも、時給を上げてもらえない原因の1つなんじゃないかと思う。
そこで真っ先に槍玉に上がるのが派遣ってことなんだろう。

でも、上にも書いた通り、自分の場合は明らかに他の人よりも仕事量をこなしていたのに、時給を上げてもらえなかったんだよね。
優秀な人に辞められて、新しく人を雇いなおすほうがお金掛かんない?って思うんだけど、思考停止なの?

…学生バイト時代の話なんだけど、その時のバイト先の雇われ店長が「昔は言わなくても勝手に時給を上げてくれた。今は言わないと時給を上げてくれない。」とぼやいていた。

これ、飲食店のバイトの時給の話ね。
店長、、今は自分から言いに行っても、時給は上げてもらえない時代になってます。
しかも、例え社員と同じ仕事をしていたとしてもね。。。

だから、もし今よりもいい待遇を目指しているのなら、最初から待遇のいい派遣先を選ぶか、それか派遣社員を辞めてしまうのが一番ということなのだ。

時給アップを期待しないでさっさと転職!

これまでにも書いてきた通り、派遣社員の時給アップは難しい。

例え現場の上司から能力を認められて評価が高くても、上の人間(経営陣)がそれを理解してくれないのだ。
派遣“なんか”にできる仕事だからと。

そして、たとえ時給交渉が成功したとしても、昇給額は数十円程度にとどまる可能性が高い。
3年で切られる可能性もあるのに、そんなにちまちま給料アップを期待して、信じて待っていても大丈夫なんだろうか?

貴重な1年、2年をかけて数十円の時給アップを目指すのなら、元から時給のいい派遣先を探すほうが間違いなく早い。

もしくは、現在の派遣先でスキルと経歴を積んで、それを武器に条件のいい就職先を探して転職をするかだ。
それが何よりも時給アップへの近道だ。

転職するかどうかで悩んでいるなら、まずは自分の市場価値をリサーチするところから始めてみるのでもいいと思うよ。
最近では色んな転職サイトやアプリが増えてきてるから、そういうのを覗いてみるのも一つの手かな、と。

視野を広げてみると気持ちが楽になることもあるから、気分転換にそういうのを利用してみるのもいいかもね。