年齢と共に子供の頃に苦手だった食べ物が好きになるっていうのあるよね。
味も見た目も地味っていうかむしろ不味いっていうか、いわゆる大人の味ってやつ。
周りの声を聞いていると大体30~40代辺りから味覚の変化を感じてくるようだ。
かくいう私も30歳を過ぎたあたりからそんな変化をひしひしと体感している。
昔は鶏の肝とか魚の塩辛とかを食べながら
「ガキにはこの良さは分かんねえよ…」
とドヤ顔で言うジジイ達に対して、
「そんなゲテモノ食って喜ぶ人生の終着点なんて冗談じゃねえよ。」
と思ったものだが、そんな年寄りに着実に近付きつつある自分がいる。
年取っちゃった自分に対してへこんでるんでしょ?ってお思いのかた。
ぜ~んぜんそんなこと無いですよ。むしろ幸せ。パラダイス。
いかに自分が今までの食人生で損をしていたのかってしみじみと思う日々。
「自分、食に興味無いですから」
っていう若者の皆さん。
いやいや、もしかするとこれからの人生に新たなステージが待っているかもしれないよ!
昔は実に好き嫌いが多かった
子供の時はとにかく好き嫌いが激しかった。
肉だめ。魚介類なにそれ。昆布ワカメ意味わかんない。炭水化物だ~いすき。
どんな風に生きて来たんだとお思いかもしれないが、ご安心を。躾だけはきちんとされていたので。
野菜中心の食事(貧乏だから)に食べ残し禁止(貧乏だから、いや違うか)という鉄の掟だけは守らなければならなかった。
子供の時はボキャブラリーの貧弱さから、出された食事に対して「不味い」の一言で終わらせてはよく母親をキレさせていたものだ。
今ならもう少しマシな表現をしよう。
「あ、ちょっと口に合わないみたいです」「体が拒絶反応を起こしているようです」と。…
子供の時の味覚の拒絶反応って「おいしい」の対極ともまた違った感じなんだけど何なのかなあれ?
単純に「不味い」っていうのとも違うような。
子供の時からあんまり好き嫌いが多いと困るじゃないか。
生物としてなんかメリットでもあるのか?
子供の味覚は敏感にできている
激しい好き嫌いはアレルギーの一種って聞くけど、もしかしてそういう類のものなのかなとネットで調べてみる。
するとこんな記述が。
子供には味を感じる器官の数が多いので大人よりも味に敏感
毒があるものや腐ったものを避けるために苦味や酸味や辛味のものは本能的に嫌うようにできている
なるほど~!
それで子供ってあんなに好き嫌いが多いのか~!すっきり!
30~40代にもなると、子供の頃の1/3まで味を感じる器官の量は減少する
なるほ…ど…?ん…?
要するにそれって老化してるってことなのかな?そういう解釈でOK?
もう生きるのに頑張らなくてもいいってこと?
あ、そう。
ふ~ん、老化… そうなんだ。
大人になって食べられるものが増えただけだし!
重ねて言うけど別にへこんでないからね。
昔はお腹が減るから面倒くさいけど食べるって感じだったけど、今では食事を楽しんでできるわけだから。
人生の楽しみのひとつが増えたわけだし。
以前は豆腐を食べて(このさっぱりとした味わい…たまらん…)とか、椎茸を食べて(Oh…旨味が濃厚…)とか思わなかったが、今ではそんな日常に溢れているなんてことない食材にすら感動している。
大人になると逆に苦手なものが出てきたりする人もいるらしいが、自分はそんなことは全然無く好きなものが増える一方である。
肉も美味しいし魚も美味しい。酒量なんて年々増えている。(そこはなぜなんだ)(おかしい)
子供の頃たまに連れて行ってもらう高い店で、「せっかくなんだから食べておきなさい」と迷惑な大人達にすすめられて、涙を流しながら珍味を噛みしめたのも今となってはいい思い出。
たこ焼きから蛸をほじって取り出したり、エビ天の衣を剥がして衣だけ食べたりして、周りから「可哀そうに…」って目で見られたこともあったけど、今では理解できる、その憐憫の感情を。
ビバ老化
食べ物に苦しんだ子供の頃、こんなに食事を楽しめる未来が待っているなんて思いもしなかった。
食事を楽しくできるって何気に幸福度を上げてくれる。
年齢を重ねることでこんなに人生が豊かになるなんて。ブラボー老化って感じ。
しかし収入は上がらないのに、あれも食べたいこれも食べたいって食欲だけが増加するのってちょっとジレンマがあるんだけど。
豊かな食事を取って体も心も満たされるのにはまずお金が必要なんだけどな。
どっかにお金落ちていないかな。