派遣社員が派遣先で人間関係のトラブルに巻き込まれるというのはよく聞く話だ。
できれば穏便に解決したいものだが、職場での人間関係問題というのはなかかなそう簡単に上手く対処できるものでもない。
就業先で何か問題が起こった際には、まず自身の派遣会社の担当営業マンに相談するべきではあるが、人間関係のトラブルというのは複数の人間が絡んでいる問題なので相談したところでスムーズに解決するのは難しい。
特に派遣先企業の社員や他社の派遣社員が関係している場合だと、問題に対処するのはより一層難しい話となる。
解決できるかどうかは問題相手との力関係に左右される
派遣社員の立場というのは常に不安定なものである。
就業先においては社外の人間になるし、同じ会社の派遣社員どうしであってもそこでの職場関係がいつまで継続するのかは分からない。
担当の営業マンがトラブルをどのように解決しようとするのかは、その時の状況や問題相手などによっても変わってくる。
トラブルの相手が自分よりも強い立場である場合には、当然上手く対応してもらえる可能性は低くなる。
派遣先企業に対しては当然弱い立場になるし、他の派遣会社に対しては問題内容やお互いの会社の規模などによっても事情は変わってくる。
ならば同じ派遣会社の社員どうしなら対等の立場であるのできちんと対応してもらえるのかというと、必ずしもそうとは限らない。
1. 相手が派遣先企業の社員である場合
トラブルの相手が派遣先企業の社員である場合、あまり積極的な改善は望めないかもしれない。
派遣先企業は派遣会社にとっては客先にあたり、どうしても立場としては弱くなってしまう。
余程のことがない限り強気の姿勢で苦情を申し入れてもらうことは期待できない。
ただあまりにも常習的に問題が起こっているような状況であれば、派遣営業マンも何らかの対策を足らざるを得なくなる。
例えば派遣先企業の社員が原因で、就業させた派遣社員からの苦情が相次いだり、派遣社員が立て続けに何人も辞めてしまった場合などだ。
なぜ自社の派遣社員が職場で円滑に就業できないのかの説明を客先へ行わなければならないし、また相次ぐ退職によって派遣会社の契約自体を切られでもしたら元も子も無いからだ。
派遣会社や自分自身にも不利益がこうむる場合であれば、派遣営業マンが動いてくれる可能性は高くなる。
2. 相手が他社の派遣社員である場合
トラブルの相手が他社の派遣社員である場合、相手が派遣先企業の社員である場合よりも問題を改善しようとしてくれる可能性は高くなる。
ただ派遣会社の間にも多少の力関係は存在しているので、必ずしも積極的に動いてくれるとは限らない。
零細派遣会社がやっと契約にこぎつけたような派遣先であるのならば、ひとまずは無用の波風を立てたくないという理由から、問題が黙認される可能性もあり得る。
しかし他社の派遣会社というのは競合相手でもあるので、もしも上手くことを運べばその派遣先での市場を奪い取れる可能性もあるわけである。
そういった意味では派遣営業マンが喜んで苦情を申し入れる可能性も無くはない。
実際に私は以前、派遣先での人間関係について営業マンに相談を持ちかけたところ、
「相手は他の派遣会社の人っ??!」
と、喜びと期待に満ちた声で聞かれたことがある。
派遣業界の裏事情と派遣営業マンの本性を見たり。
といった感じだったが、相手が派遣先企業の社員であるよりも他社の派遣社員である場合のほうがはるかに苦情を言いやすいようだ。
実際に苦情を申し入れる場合は、派遣営業マンが直接他社へと苦情を言うわけではなく、間に派遣先企業の人事担当者が入ることになると思うので、どう上手く話を運ぶかは派遣営業マンの技量次第となる。
3. 相手が同じ会社の派遣社員である場合
トラブルの相手が同じ派遣会社の社員である場合は問題解決へのハードルが一番低いとも言えるのだが、しかし派遣営業マンにとっては一番どうでもよい問題であるとも言える。
なぜならば大抵の場合それは社内の内輪の揉め事という扱いになってしまうからだ。
「女性どうしのことだから…」とか、「みんな仲良くしてね☆」程度で済まされる可能性も大いにあり得る。
また派遣社員の多くが女性であるのに対して営業マンがほとんど男性であることに起因する問題に対する認識の甘さや、加えて営業マンの性格のクズ加減なども、問題が放置される原因のひとつであるだろう。
ある派遣社員と営業マンが同じ会社の別の派遣社員の悪口で盛り上がっているなんていう光景をちらほら目にすることもあり、運悪くハズレ職場を引いてしまうと、ほんとゴミ溜めみたいな世界を体験する羽目になる。
とはいえ、問題が複数人を巻き込んで大きく波及するようなことともなれば、営業マンも仕方なく動かざるを得なくなる。
もしも就業先でいざこざが起これば自社の心証が悪くなってしまうし、またトラブルが原因で何人も退職する人間が出てしまっては、信用面でも金銭面でも損失が生じることになる。
それは派遣営業マン自身の立場に関わることなので、内心面倒だとは思いつつも対応しれくれる可能性は高くなる。
そもそも派遣営業マンはクズだから…
トラブル相手との力関係うんぬんについて書いてきたが、しかし派遣社員の立場がどうこう以前に、トラブル解決の障壁となるのは何よりも担当営業マン自体であることの場合が多い。
他の記事でも「派遣営業マンはクズ」といった内容のことを書いたが、大抵の派遣営業マンというのは自身の保身と利益を何よりも最優先させる生き物だ。
もしも職場で人間関係のトラブルが起きたとしても、自身にメリットが無い場合には、派遣営業マンというのは基本的に問題をあまり積極的に解決しようとはしない。

派遣営業マンの頭の中にあるのは、「派遣社員=単価」「人間関係=駒の配置」といった図式であり、例え問題社員に非が有ろうが素行が悪かろうが職務が怠慢であろうが、そこは重要ではなく、被害者である社員の心情が汲まれるということはない。
もしもあまりにも埒があきそうにない場合には、担当営業マンは通さずに直接派遣元のコーディネーターや相談窓口へと相談するという方法もある。
私も一度、担当営業マンがあまりにクズ過ぎて役に立たなかったので、直接コーディネーターへと相談を持ちかけたことがあるのだが、次に担当営業マンに会った時には不自然なくらいの笑顔と猫撫で声で対応をされて、大変に気持ち悪かったという経験がある。
配属される職場や担当営業マンには当たり外れがあるので、あまり思い詰めずに何なら職場替えの相談や、思い切って派遣会社の変更を検討してみるのもいいだろう。
そんなに深刻にならなくても派遣会社や就業先は星の数ほどあるので大丈夫!